今日は歯科医師の小野寺です。
突然ですが歯医者さんでTBIと言う言葉を聞いた事があるでしょうか。
TBIとは「トゥース・ブラッシング・インストラクション」の略語で、日本語で言うと歯磨き指導の事を言います。
患者さんの中には「歯磨きなんて毎日の生活の中でしっかりとやっているよ」、「問題なく歯磨き出来ているよ」を言う方もいらっしゃいます。
しかし、個人個人の歯磨き方法しており,またその歯磨き動作には,固有の習慣や癖が付いているため,はたしてその効果が十分に発揮されるような清掃をしているかどうかは分かりません。
そのため正しい歯磨きの方法を1度でも聞くことは歯を長く残していくためにもとても重要になります。
TBIとは
先ほども書きましたがTBIとは「トゥース・ブラッシング・インストラクション」の略語で、歯磨き指導のことを指します。
TBIについて「もう歯磨きしっかり出来てるよ」と思う方も多いかもしれません。しかし、正しく歯磨きをできていない人がとても多いのです。
歯科医院では歯科衛生士さんが歯磨き方指導を行い、セルフケアの質を高めることでお口の健康維持、向上を目指しております。
歯磨き指導を受けたことはありますか?
皆さんは歯医者さんでこの1年間で歯磨き指導を受けた事があるでしょうか?あまり受けた事が無いのでしょうか?
歯磨き指導は受けた事があるよう患者さんが多いようですが、実践するとなると難しい事があるようなので何回か指導は必要では無いかと思います。
自分の歯磨きでどれぐらい汚れが取れるの?
歯ブラシのみでは60%ほどしか歯垢(プラーク)を除去できず、歯間ブラシやデンタルフロスの使用が必要になってきます。
TBI(歯磨き指導)の実際
1、患者さんの歯磨き方法のチェック
正しい部位に歯ブラシを当てられているか、歯ブラシ圧が強く無いかなどをチェック
2、歯の汚れを染め出す
歯に汚れがついていないかなどを染め出しを行いチェックします。
※患者さんには染め出し後、着色が残る事があるため使用する際には確認致します。
3、歯の模型を使用して歯磨き指導
歯ブラシの持ち方や磨き方、ブラシをあてる角度などを、歯の模型を使って説明します。
また、歯と歯の隙間の汚れを効果的に除去するデンタルフロスや歯間ブラシの正しい使い方も、併せて確かめます。
4、お口の中で患者さんに歯磨きをしてもらう
実際にご自身のお口の中で歯磨きをしてもらいます。力の入れ具合や歯ブラシをあてる角度など、見ていても分かりにくい部分を実践することで、感覚を覚えていただきます。
フロスや歯間ブラシも、実践しながら正しい使い方を覚えていただきます。
5、次回歯磨きのチェック
歯磨きがうまくできているか、歯肉が腫れていたり、赤くなっていないか、汚れがついていないか、歯間ブラシやフロスをしっかり使用出来ているかなどをチェックし、必要ならもう1度TBIします。
TBIを行うメリット
1、磨き残しを把握できる。
利き手や歯ブラシの形状、歯並びなどの理由により、汚れが落としにくい部分は人によって違います。そのため正しいブラッシングが出来ていないと除去が不十分になりやすいため、TBIや染め出しにより自分がどこを磨けていないのかを理解し、意識することが大切です。
2、歯磨きの仕方を習得、正しい歯磨きの定着
歯の向き、生え方、形状は一人一人違っています。そのため一人一人の歯に合った適切な歯ブラシの当て方や動かし方が求められます。
正しい歯の磨き方やコツを習得することによって、効果的にプラークを除去できるようになります。
しかし、一度TBIを受けても、期間を置くと自分の歯磨きの癖が強く出てきてしまうことがあります。そのためTBIを定期的に受けることで、正しいブラッシングの仕方を維持でき、お口の中が長期的に清潔に保たれます。
TBIを行うデメリット
1、何回か歯科医院への受診が必要なため根気が必要
正しい歯ブラシ方法を習得するためには何回か歯ブラシ指導に通院してもらう必要があります。
まとめ
口腔内に存在する細菌の種類は700種類と言われており、歯垢(プラーク)1ミリグラムあたりには1億個もの細菌が含まれています。
そのためセルフコントロールがうまく出来ていないとお口の中の細菌は、虫歯や歯周病といった病気の原因になるだけでなく、口臭や全身疾患を引き起こす事もあります。
歯だけでなく身体の健康のためにもセルフケアの質を向上させ、定期的にチェックやクリーニングを受けることが予防効果を高め、さらにはQOLの向上につながりますので日々の歯磨きを1度復習してみたり、もう1度学んでみていただければと思います。