こんにちは歯科医師の小野寺です。
突然ですが皆さんはむし歯になりやすいですか?むし歯になりにくいですか?
患者さんに問診すると「私よくむし歯になりやすいんです。」と仰ることが多いです。
確かに遺伝でむし歯になりやすい人は居ますのでなんとも言えないですが日常の生活習慣によりむし歯になっていたりする事もあります。
その場合は少しだけ生活習慣を変えるだけでむし歯になりにくくんなるかもしれません。
むし歯は生活習慣病?
皆さんはむし歯の予防のために何をしていますか?という質問をすると
「歯を一生懸命磨いている」
「甘いもの(砂糖)を食べる量を減らしている」
とう言う答えが多いのではないでしょうか。
実は、これらは、むし歯の予防に大きな効果はないのです。
歯磨きは歯ぐきの病気(歯周病)には大きな効果がありますが、フッ素入りの歯磨きを使わない限り、むし歯の予防には大きな効果は期待できません。
また、砂糖のたっぷり入ったお菓子でも、食べ方によってはむし歯を起こす危険は少なくすることができるのです。
むし歯の発生はむし歯菌(ミュータンス菌)の数よりも食生活に大きく影響されるからです。
むし歯はどのようにできるの?
1、食べ物を食べるとお口の中のPHが下がり、酸化する。
2、砂糖を材料としたミュータンス菌の周りに「不溶性グルカン」を作る。
3、ネバネバした不溶性グルカンとともにミュータンス菌が歯に付着し、歯垢を作る。
4、歯についたミュータンス菌が砂糖を材料として「酸」を作る。
5、作られた酸が歯を溶かしてむし歯を作る。
まとめるとむし歯になる原因は2つ
■不溶性グルカンの産生。
砂糖は不溶性グルカンの材料となる.不溶性グルカンによって,ミュータンス・レンサ球菌が歯の表面に付着する。(バイオフィルムの形成)
■酸の産生。
砂糖は,ミュータンス・レンサ球菌が酸をつくる材料となる。そして歯を溶かしてむし歯を作っていく。
この2つをどのように防ぐかでむし歯が出来る、出来ないかが決まっていきます。
では砂糖をずっと食べているとむし歯になるのか?
砂糖を食べると、歯垢(プラーク)の中に棲む細菌は砂糖を分解して酸に変え、その結果、歯垢のpHが低下します(酸が増えるとpHは低下し、酸が減ると上昇します)。歯垢のpHは、砂糖を食べると5以下になります。
一方、歯の表面を覆うエナメル質は大変堅いものですが、pHが約5.5以下になると急激に溶け出します。このようにして歯が酸で溶かされることが、むし歯の直接の原因となります。
日常の飲み物にはどれくらいPHが低くて(酸性)、砂糖が含まれているのか?
上記の図が示しているように殆どの飲み物が酸性が強い(PH5,5以下)です。
多くの飲み物に砂糖が多く含まれています。
その割にはむし歯になってない?
こんなに日常生活で砂糖を摂取していたり、酸性度の高い飲み物を飲んでいたらもっとむし歯になるような気がしませんか?
もちろん砂糖を多く摂取している人の方がむし歯になりやすいとは思います。
しかし実際には多く摂取している人でもむし歯にならない人もいます。
そこには食習慣(規則正しい食事の時間や間食)がとても重要に関わっています。
むし歯にならない食習慣とは
1、規則正しい食事(食事をする時間)
お口の中はPHが下がるとそれを中性に戻そうとする調節機能が働きます。
ただ戻るまでに時間がかかるため食事と食事の間を空ける必要があります。
2、間食
お口の中はPHが下がるとそれを中性に戻そうとする調節機能が働きます。
ただ戻るまでに時間がかかるため間食もできればしないかおやつの時間を食事との間隔をできるだけ空けて再石灰化を促しましょう。
3、夜寝る前に食事やおやつを食べない
夜寝る前に食事やおやつを食べて、寝てしまいますと歯垢のpHは、低下したまま回復せず、pH低下が少なくとも数時間以上続きました。
これは、眠っている間は、唾液がほとんど分泌されないためです。
歯と口の健康を保つための提案
以上のことから食生活を少し改善することでむし歯のリスクを減らすことができます。
まとめると
1、寝る前の1時間は食べない、飲まない。
(日本茶や水やウーロン茶は飲んでも大丈夫です。)
2、1日2〜3回、歯磨きの習慣をつけましょう。
3、フッ素入りの歯磨き粉を使ってうがいを少なくしましょう。
4、飲食と飲食の間に時間をおいてください。
5、定期検診をオススメします。
6、甘いおやつはできるだけ少なくしましょう。
これらの食生活を少しでも改善することでむし歯が減り、お口の中をキレイに保っていただければと思います。
日付: 2021年5月12日 カテゴリ:ブログ and tagged #小岩、#歯科医院、#歯医者、#むし歯、#虫歯菌、#ミュータンス菌、#砂糖、#食生活、#おやつ、#炭酸飲料、#不溶性グルカン、#, #歯科衛生士、#食育