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歯科と全身疾患2(心疾患)

こんにちは歯科医師の小野寺です。

近年歯科治療においても全身疾患を考慮しながら行うことが必須になってきております。

特に高血圧症と並んで心疾患(狭心症等)は歯科治療(特に歯周病)を行う上でとても注意が必要です。

それは歯周病が心疾患を悪化させる可能性があるからです。

歯周病と動脈硬化

近年世界各国の研究によって、口腔清掃が不十分なことが原因で歯周病がいくつかの病気に密接に関係していることが明らかになっています。

特に動脈硬化に影響があるとされていて、実際に動脈硬化を起こした血管の中のプラーク(動脈硬化の病巣)を調べてみると歯周病の細菌がいます。
アメリカの権威のある雑誌で報告されたデータから、60歳未満で歯周病による骨の吸収、骨が溶けるなどの症状はある重症な人は、そうでない人と比べて2.48倍、心血管死(アメリカ流でいう心筋梗塞)が発症しやすい。と報告されています。

この動脈硬化が狭心症や心筋梗塞を引き起こします。

歯周病とは

歯周病の原因となるのは、バイオフィルム(歯垢)と呼ばれる細菌です。バイオフィルムは、歯磨きが不十分な部分に付着するネバネバした黄白色の粘着物です。バイオフィルムは時間とともに量が多くなり、酸素が少ない状態になると歯垢の中で酸素を嫌う嫌気性菌が多くなります。

嫌気性菌が歯肉に攻撃を仕掛けて身体の中に侵入しようとし、身体は菌をやっつけて侵入を抑えようと攻撃します。これが、歯周病のはじまりで、歯肉からの出血・発赤・腫脹などの炎症の症状です。

この中でも、出血は歯周病菌と白血球の戦いの証です。出血をそのままにしておくと、歯垢は歯周ポケットの中に潜り込み、どんどんと歯周組織を破壊していき炎症を繰り返します。歯周病が起こるということは、口の中で常に炎症が続いているということです。

その際、炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、様々な病気を引き起こしたり悪化させる原因となります。炎症性物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり(糖尿病)、早産・低体重児出産・肥満・血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)にも関与しています。

※日本臨床歯周病学会 歯周病が全身に及ぼす影響 引用

動脈硬化とは

動脈硬化とは血管が厚く硬くなり血管が狭くなる病気です。

前述に記したように動脈硬化を起こした血管の中のプラーク(動脈硬化の病巣)を調べてみると5種類の歯周病の細菌がいる事が報告されています。

歯周病菌が歯肉から血管内に入り、歯周病菌が産生する内毒素や歯周病巣で産生された炎症性物質(サイトカイン)が原因となって、血管に炎症を起こし、血管そのものを硬化させたり、血栓を形成するように働いて動脈硬化を進行させると考えられています。

また、歯周ポケットが深くなるほど血液中に侵入する歯周病菌が多くなるという結果報告もあります。

動脈硬化により狭心症や心筋梗塞が悪化

動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気です。

血管内に発生するプラーク

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。

歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。

プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。

その結果狭心症や心筋梗塞が悪化する可能性があります。

※日本臨床歯周病学会 歯周病が全身に及ぼす影響 引用

狭心症や心筋梗塞を起こさない身体を作るには

では狭心症や心筋梗塞を起こさない身体を作るにはどのようにしたら良いのか?

1、生活習慣

どの病気にも言える事ですが生活習慣を正しくする事がとても重要です。

  • 塩分を控える
  • 禁煙
  • 飲酒を控える
  • 運動を行う
  • 充分な休養と睡眠
  • ストレス解消

2、歯周病

歯周病を進行させないための治療が重要になってきます。

  • 毎日の歯磨き
  • 間食を控える
  • 定期検診(半年に1度)

まとめ

歯周病菌は、全身に悪さをする慢性的な炎症です、歯周病がある人は、動脈硬化になり血管の状態を悪化させ、心筋梗塞や狭心症になりやすいことが証明されています。

そのため歯科医院では

  • 毎日の正しいブラッシング
  • 間食指導
  • 定期的なメインテナンス

を行う事でお口の中から全身管理をしていきたいと思います。

 

 

 

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歯科医院でのコロナ感染症対策

今日は歯科医師の小野寺です。

冬になり新型コロナウイルス感染症に罹患する患者さんが増えてきました。そうなると歯科医院へ行くとコロナウイルス感染症にかかるリスクが有り、定期検診や治療にはいかない方が良いと思われる患者さんがいらっしゃると思います。

ですが、実際、歯科治療が原因でコロナ感染が起こる可能性はあるのか?

また、必要な歯科治療を受けないことで感染や重症化のリスクが高まる可能性もあるのか?

自分自身の見解を説明していきたいと思います。

歯科医院は感染リスクが高いの?

 

The Workers Who Face the Greatest Coronavirus Risk – The New York Times March 15, 2020引用

3月下旬から4月上旬にかけ、歯科医院が新型コロナウィルスの感染リスクが非常に高いという報道がいくつもなされたことによると思われます。

上記の図が、しばしばテレビを始めとする報道や、SNSでよく引用されています。様々な職業の人たちについて、どれくらいコロナウィルス感染のリスクが高いのか、ということを示した図になっています。
これを見ると、図の右上に「Dentists」つまり歯科医師がいるのがわかります。つまり、歯科医師は大変感染リスクの高い職業であることを示唆しています。

感染のリスクが高い歯科医師が診察することで患者さんやスタッフへ感染させてしまうのではないか。

そのため日本政府からも歯科診療所に対して「緊急性がないと考えられる治療については延期」を要請しました。

しかし、コロナ感染症発症から半年以上が経過し、次第に歯科医院での治療が通常に戻りつつある中で歯科医院は観血処置が多く、またエアロゾルも発生しやすいため、感染症のリスクが従来より高い場所ですがコロナ感染症の院内感染のニュースはゼロではないかもしれませんがほとんど聞かれません。

以前テレビ出演された日本歯科医師会の堀憲郎会長も『今日まで歯科治療を通じて患者の中での新型コロナウイルスの感染は1件もない』とコメントされていました。

結果として全てではないですが高い基準で歯科医院では感染リスクを抑えられている事が証明されていると思います。

なぜ歯科医院では感染リスクを抑えられているのか?

では何故歯科医院での感染リスクが高いはずなのに感染リスクを抑えられているのか?それは個々の歯科医院において多少の違いはあるかもしれませんが感染予防対策をしっかり行っている事が大きいかと思います。

具体的には

 1、患者さん毎の診査器具や切削器具の消毒、滅菌。

 2、患者さん毎のグローブの交換。

 3、空気汚染(エアロゾル)対策として空気清浄機や加湿器、口腔外バキュームの設置。

 4、予約制にしているため待合室が密になることを防ぐ事ができます。

等のことをしております。

そうする事でできる限り歯科医院での感染のリスクを減らすようにしております。

歯科医院の行かないことで感染のリスクはあるのか?

普通に考えれば歯科医院に行かなければ感染のリスクは低くなります。

しかし、お口の中に問題(虫歯や歯周病)がある場合は逆に歯科医院へ行かないことで感染のリスクが生じる可能性があります。

口腔内をキレイに保ちましょう。

口腔(こうくう)内には、700種類以上の細菌が存在し、ウイルスが引き起こす疾患があります。口腔内をしっかりと行っている人はウイルス感染を起こしにくくなるということがわかっています。お口の細菌がウイルスの感染を助ける酵素を出すため、適切な口腔ケアでお口の細菌を少なくしておくことでウイルス感染そのもののリスクを下げることができるのです。

そのためクリーニングや定期検診へ行き口腔内をキレイにしておく必要があります。

歯をよく噛める状態にしておきましょう

歯を抜いたまま放置していたりして上と下の歯でよく噛めない状態でいると、どうしても偏った食事になってしまい、結果的に免疫が落ち、ウイルス感染または重症化のリスクが高まります。

適切な歯科治療を受けて、よく噛める状態にしておくことで、免疫力の低下を防ぐことができます。

患者さんのお気持ちも有りますし、100%では有りませんが、歯科医院はウイルスに対抗できる位の院内感染対策を常に行っておりますので安心して通院していただければとお思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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