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歯科と全身疾患1(高血圧症)

こんにちは歯科医師の小野寺です。

突然ですが日本人で高血圧症の人は何人いるかご存知ですか?

日本の高血圧患者は、全体として約4,300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧という状況です。もはや国民病といっても過言ではないでしょう。当然歯科治療においても高血圧症の患者さんに対して抜歯やインプラントなどの外科処置を行う時の対応が重要になって来ます。

血圧とは

私たちの体に流れている血液は、生きていく上で欠かせない酸素や栄養素を全身に届ける役割を担っています。心臓がポンプのように収縮と弛緩を繰り返し、血管に圧力をかけることで、動脈を介して全身の組織に規則正しく血液を届けているのです。
血圧とは、心臓から送り出された血流が血管の内壁を押す力(圧力)を指します。

血圧を決定する要因

・心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量(心拍出量)

・血管のしなやかさ(弾力性)

・血液が血管に流れ込む際の末梢血管の抵抗力(血管抵抗)

・血液の粘度

により血圧が高いのか低いのかが決められます。

高血圧とは

高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。

90%以上を占める「本態性高血圧」と、他の疾患が原因で高血圧になる「二次高血圧」があります。生活習慣病として問題となるのが本態性高血圧で、生活習慣と遺伝的な体質の両方が関係していると言われます。

高血圧症の合併症

1、狭心症

2、心筋梗塞

3、脳梗塞

4、脳出血

5、くも膜下出血

高血圧症の歯科治療時の注意点

1、診療のストレスによる血圧の上昇

歯科診療は患者さんにとって思っている以上にストレスがかかります。そのため治療中に血圧上昇がしばしば見られます。高血圧症の患者さんがさらに血圧が高くなるため注意が必要になります。

2、局所麻酔による血圧上昇

歯科治療では治療時の痛みを抑えるために局所麻酔の注射を使用します。局所麻酔薬にはアドレナリンが入っていて、血圧を上昇させる作用があります。

3、抜歯などの観血処置時の止血困難

高血圧症患者さんの抜歯等を行う時に血圧が高いため止血が困難になる事があります。

歯科医院で行う対処法

1、患者さんの既往歴聴取と服薬のチェック

患者さんの高血圧症に対する情報を収集する事が重要です。日常生活での血圧やお薬手帳のチェックなどを行い、必要であれば内科の先生へ状態確認の手紙を出します。

2、モニタリング

治療中に起こる血圧の変動をチェックする事が大切で、高血圧症患者さんは抜歯など痛みを伴いがちな治療の際は、脈拍、血圧などの変化をモニターしてもらうと安心して治療を行えます。

3、局所麻酔を患者さんの状態に合わせて変える

局所麻酔は上記に記したようにアドレナリンが添加されており、診療のストレス+アドレナリンにより血圧上昇する可能性があります。そのため局所麻酔をアドレナリンが添加されていない薬に変更するなどを臨機応変に対応していく必要があります。

4、ストレスをなるべくかけない治療を行う。

これが1番大切ですが診療中になるべくストレスをかけない治療を行う必要があります。具体的には患者さんへの声掛け、丁寧な説明、局所麻酔時に表面麻酔や電動麻酔を使用するなどの行動が重要になります。

それでもストレスが緩和されない場合には当院では静脈内鎮静法による無痛治療を行います。

歯科治療は患者さんや医療従事者が思っているよりも数倍のストレスがかかる場合があります。

患者さんの病状を把握し、ストレスをなるべくかけないように治療していく事が大切になってくるかと思います。

 

 

南小岩の歯医者 | 小野寺歯科医院

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