こんにちは歯科医師の小野寺です。
関東でも新型コロナウイルスがまた徐々に増えてきましたね。毎日のように感染者がニュースで報道されている一方で人口を推移する出生数にも影響が出始めています。
厚生労働省の発表によると、2020年5月以降全国の妊娠届数が減少していますので少子化がますます進んでいます。
今の社会では新型コロナウイルス感染に気をつけながら元気な赤ちゃんを産まなければいけませんので妊娠、出産をためらう方が多いのではないかと思います。
今妊娠されていて元気な赤ちゃんを産むためには妊婦歯科検診を受けることはとても重要なことだと思います。
妊婦歯科検診とは
妊産婦の口腔衛生は、妊産婦本人に加え、胎児にも大きな影響を与えます。 妊娠すると、ホルモンバランスの変化やつわりによる歯みがき不足などが原因で、歯肉が腫れやすく、むし歯になりやすい状態となります。 通常の時期よりさらにリスクが高まる時期のため、歯科健診が必要になります。
そこで各自治体で妊婦歯科健診を受けることにより母親だけでなく将来生まれてくる子供のお口の健康にも繋げていくための検診です。
※江戸川区歯科医師会HPより引用
妊娠時に見られる歯やお口の問題
上記のポスターに記してあるように江戸川区の妊婦歯科検診を受けた人の64.5%に歯肉炎や虫歯が見られたように様々な症状が出ることがあります。
主な症状)
- 歯肉に腫れや出血がある
- 冷たいものや熱いものがしみる
- 歯や歯肉に痛みがある
- 唾液が粘っこい感じがする
- 気分が悪く、歯みがきができない
- 食事回数が増えて、歯垢が溜まりやすく感じる
妊娠時の虫歯や歯周病による身体への影響
歯周病は早産等のリスクになる。
歯周病が早産や低体重児出産を引き起こすメカニズムを簡単に説明すると、妊婦が歯周病になると歯周組織の破壊が通常よりも速いスピードで進行する。すると、歯周病菌がもたらすサイトカインなどの炎症関連物質が過剰に生成され、血管の中に入り込み、血液とともに運ばれる。この炎症関連物質は子宮を収縮させるホルモンに酷似していることから、早産等を引き起こす原因になるという。
実際、妊婦の飲酒によって早産のリスクは約3倍になるとされているが、歯を支えている歯槽骨まで破壊される歯周炎を患っていると、早産のリスクは約7倍にもなるとされている。
加えて、妊娠は歯周病が悪化しやすい環境でもある。妊娠中は「女性ホルモン」と称されるエストロゲンやプロゲステロンなどが高まるが、このエストロゲンは歯周病菌の栄養となって増殖する。また、ホルモンバランスが崩れると唾液の分泌量が減ってしまい、妊婦はドライマウスになりやすい。唾液には食べカスを洗い流すほか、唾液中に含まれる抗菌物質で歯周病菌など細菌の増殖を予防する働きがあるため、十分に唾液が分泌されない状況では、歯周病菌の増殖をうながしてしまうことにもなる。
妊娠時の虫歯や歯周病による赤ちゃんへの影響は
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には細菌はいません、お母さんの口移しなどで細菌が入っていきます。そのためお母さんのお口の中はキレイ、健康にしておく必要があります。
※江戸川区歯科医師会HPより引用
妊婦歯科検診は何をするのか
1)問診
2)口腔内診査
妊婦歯科検診で虫歯や歯周病がある場合治療できるの?
妊婦が虫歯治療を行うのは可能ですが、胎児に悪影響を与えないためにも治療時期には十分注意しなければいけません。
安定期(5ヶ月〜7ヶ月)が望ましいです。安定期であればほとんど問題なく虫歯治療が可能です。初期(1ヶ月〜4ヶ月)では応急処置になります。後期(8ヶ月〜10ヶ月)では体調を見ながら、また産婦人科の先生と相談しながら治療していきます。
虫歯治療の際に使用する局所麻酔は、通常量であれば基本的に胎児に影響はありません。
局所麻酔が体内に入ることに対してどうしても不安がある方は歯科医師に相談してみましょう。場合によっては応急処置のみを行い、お子さんを出産された後に治療することも可能です。
妊婦歯科健診はお母さんの健康と生まれてくるお子さんの健康のためにもとても大切な治療ですので是非1度検診してもらえればと思います。
日付: 2021年4月7日 カテゴリ:ブログ and tagged #小岩、#歯科医院、#新型コロナウイルス、#感染対策、#妊婦健診、#問診、#口腔内診査、#早産、#虫歯、#歯周病