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CTの有用性

2019年10月に歯科用CTを導入しました。患者様の病状に対して、今までより確実性の高い診断や治療が可能になります。
また、症状が重い場合でも大学病院との連携をスムーズに行うことができるようになります。
歯科治療を行う事はお口の中の歯だけでなく、その周りの骨や筋肉、または張り巡らされた神経や血管に対して治療を行います。

歯科用CT

外からは見えないそれらの骨や神経などに対して、今までは位置や状態の予測し、治療方針を決めてきました。したがって、その予測には歯科医の豊富な知識と経験が必要とされてきました。
しかし、現在医療技術の発達によって、見えない部分を限りなく見えるような時代に入ってきました。それにより、歯科医の知識と経験に「確実性の高い情報」が加わり、より効果的な治療を進めることができるようになってきました。それがCTです。

CTの特徴

1. CTとは

歯科用CT

CTとは「Computed Tomography」の略で、コンピューター断層撮影というレントゲン撮影方法の1つです。
多方面からX線を照射してコンピューターを使いデータ処理することによって、顎・歯・口腔領域など頭頚部の硬組織、またその周辺組織の3次元画像を描き出します。

2. CTで何が見る事ができる?

下顎の親知らずと神経の関係

下顎の親知らずを抜歯する際、近くに神経が奏功している事が多く見られます。
そのため、抜歯を行う際に神経の走行をしっかり確認しておかないと、神経を傷つけて下唇や皮膚に麻痺が起こる可能性があります。
今までは2次元のレントゲン画像で神経の走行を想像しながら行っていましたが、CTの導入により神経の走行や親知らずとの位置関係がしっかりと把握出来るようになったので、確実な抜歯が行えます。

このように、パントモ撮影(2次元)では左下の親知らずと神経(下歯槽神経)が接しているように見えますが、CT撮影を行うと左下の親知らずと神経は全く接していない事が確認出来て問題なく抜歯を行なえます。

上顎の親知らずと上顎洞との関係

上顎の親知らずの根が生まれながらにして上顎洞という空洞に突出している事があります。
そのため、抜歯後に抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)と上顎洞が交通し、上顎洞を間にして口腔と鼻腔が繋がってしまいますが、大部分自然に閉鎖します(穴の大きさによる)。しかし、閉鎖するまでの間に口から飲んだ水が鼻から出たり空気が口から鼻に漏れたりし、上顎洞に感染が起こり上顎洞炎を発症する事がありますので、親知らずと上顎洞の位置関係を知る事が重要です。

根管治療における根の位置と数を正確に把握出来る

根管治療を行なっていると根の位置と数が分からずに治療が困難な症例があります。
今までは根はこの場所にあるはず、この歯には根は何本だと経験上考えて治療していましたが、CTを使う事で正確に診断出来るようになり治療精度が上がります。

歯科用CT

右上の奥歯の根の状態を確認したくてCT撮影を行ったところ、通常奥歯の根は3根なのですが4根あるのが確認出来ました。

上顎洞炎が発症しているかどうかがわかる

上記の親知らずの場合もそうなのですが、他にも根管治療を行なっている場合や風邪を引いてしまった時など、目の下辺りがとても痛くなる経験をされた事があると思います。
それは上顎同炎になっている可能性があり、歯科の通常の大きいレントゲン写真(パントモ)では診断が困難でCTを撮影する事で正確に診断が可能です。歯が原因であるならば歯科医院で対処いたしますが、風邪で鼻が原因の場合は耳鼻科へ紹介いたします。

小児の歯の生えてくる方向や埋伏歯の位置関係を診断できる

小児の歯が生えてくる位置・方向・歯の完成具合などに異常がないかどうかを確認できます。
矯正治療において歯の根の移動状況や支える骨の具合を把握する事は治療の安全性や成功率を高めます。

また、過剰歯とは正常の歯数よりも多いものをいい、小児の過剰歯はこれから生えてくる大人の歯との関係で抜歯を行う場合があります。
しかし、顎の骨の中にあり正確な場所を把握できない事が多いため、CTにより正確な位置関係がわかり抜歯をスムーズに行えるので小児に余計な負担や恐怖を与えずに治療が行えます。

大人の歯の後ろに過剰歯が生えています。2次元画像ではこのように撮影する事が困難です。

インプラント手術のシュミレーションが行なえる

インプラント手術は現在ではかなり確立された治療法になりました。
インプラントを行う上で重要なのは、顎骨の幅・長さ・骨質・神経や上顎洞との距離などを事前にCTにて測り、シュミレーションを行う事です。特に神経は触るだけでなく、圧を掛けるだけでも麻痺を起こす可能性があるため、注意が必要であり、2〜3ミリは安全マージンが必要です。骨が少なくて、神経まで近い場合においては、CT画像にて確認できる意義が非常に大きいです。


歯周病の状態把握

歯周病は高血圧症などと同じ慢性疾患であるため、見た目や身体に目立った症状が出る事なく進行する事が多いです。そのため、今までは歯周ポケットの検査やお口の中の歯茎の色などで炎症が起きているのを患者様に見てもらっていました。
しかし、お口の中を見て「顎の骨が減っていますよ」と伝えようにも、実際は歯肉に隠れてうまく伝えられず患者様に納得してもらえない事があります。
しかし、CT画像にて歯周病にて歯を支える顎骨がどの位なくなっているのか、あるいは治療前と治療後で状態が良くなっているのか、または骨が再生しているのかなどを見てもらう事で自分自身の顎骨の状態を見ることが出来るので患者様への説明も上手く出来るようになります。

3. CTの被曝

レントゲン写真は放射線被曝の心配をされている方も多いと思います。特に歯科用CTは口腔内を高い精度で診断するための撮影装置ですが、患者様はそのために放射線を被曝しなくてはいけません。
現在、最新の歯科CTの被曝量は医科用の10分の1ともいわれており、安全性は高いと言えます。
普段の生活でも自然に放射線を浴びており、日本に1年間生活するとCT35回分、飛行機に乗り日本→ニューヨークに往復で行くとCT3回分程と言われております。


CT撮影は診断や治療において今まで診る事が出来なかった情報が得られるため大変有用であります。
しかし、当院では何に対してもCT撮影を行うのではなく本当に必要な時に患者様に同意を得てから必要最低限の被曝で必要な部位にのみ撮影を行うことを心掛けておりますので安心していただければと思います。

南小岩の歯医者 | 小野寺歯科医院

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