こんにちは歯科医師の小野寺です。
近年インプラント治療が歯科では定着してきており、お口の中にインプラントが入っている患者さんも見受けられるようになって来ました。
しかし、やはり高額であったり、顎の骨にインプラントを埋入するのが怖い、術後の痛みが心配などのマイナスなイメージがあることも事実です。
ただ、それ以上のメリットもあるため歯科医師としてはインプラント治療をオススメすることがあります。
インプラント治療とは
インプラントとは、厳密には人の身体に埋め込む人工物のことを言います。
歯科診療に用いられるインプラントは、「デンタルインプラント」と言いますが、近年は歯科におけるインプラント治療が一般的になっており、単にインプラントと呼ぶことが多くなっています。
歯は、目で見える部分の歯とそれを支える歯根から成り立っています。
歯を失うということは、それを支えている歯根も失ってしまうということです。
インプラントと差し歯は何が違うの?患者さんも少なくありませんが、差し歯は歯根が残っている状態で行う治療(ご自身の歯根)であり、インプラントは歯の根までなくなってしまった患者さんに行う(インプラントで代替の歯根を作る)治療法です。
インプラント治療 差し歯の治療
歯を失ったときはどんな治療法があるの?
インプラントの話をしていますが実際に歯を抜かなければならなくなった時には抜いたその場所をどのような方法で治療することができるでしょうか。
1、入れ歯
入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があり、部分入れ歯は1歯欠損から1歯残存までの症例に使用される義歯の事を言い、総入れ歯は残存歯が全く無い症例に使用する義歯の事です。
入れ歯は床(しょう)と呼ばれるピンク色の土台(合成樹脂)の上に人工歯や金具が並ベて作製します。
入れ歯のメリット
・適応範囲が広い。(ほぼ全ての症例に適応可能)
・短期間で治療を終えることができる。
・取り外しができるため清掃がしやすい。
・保険適用である。
入れ歯のデメリット
・噛みにくい(ご自身の歯を100とすると40〜50位)。
・装着時の違和感が強く慣れるまでに時間を要することがある。
・両隣の歯に金具をかけて支えるため負担がかかる。
・見た目があまり良くない。
・管理(毎日の取り外しなど)が大変な時がある。
2、ブリッジ
ブリッジとは、歯を失った部分の両脇の歯を支えにして、そこに橋(ブリッジ)の様に、一体型の被せ物を装着する治療方法です。
ブリッジのメリット
・比較的よく噛める。(ご自身の歯を100とすると60〜70位)
・装着時の違和感が少ない
・保険適用である。(保険適応の場合、銀色の被せ物になることがあります。)
ブリッジのデメリット
・ブリッジの支えとなる歯を削らなければならず、支えとなった歯は負担が増えるので、もともと健康であった歯の寿命を損なうおそれがある。
・保険適用の場合、銀歯とプラスチックの素材で作られるので、見た目が悪い
・ブリッジと歯茎の間に食べかすが詰まりやすく、虫歯や歯周病の原因になりやすい。
3、インプラント
インプラントのメリット
・ご自身の歯と同じようによく噛めます。(ご自身の歯を100とすると90位)
・違和感はほとんどありません。
・他の歯を削ることなく被せ物を作ることができます。(1番のメリットだと思います。)
・綺麗な歯が入ります。
インプラントのデメリット
・顎の骨の状態(幅や長さが足りない)によってはインプラントが入れられないことがあります。(必ずCTにて診断を行います。)
・治療期間が長い。(3ヶ月〜4ヶ月)
・自費治療になります。(1本40万円前後)
・外科処置になりますので手術が怖かったり、術後に痛みが出ることがあります。
・インプラントは一生物ではありませんので、必ず長持ちするようにメインテナンスが必要になります。
インプラントはどれぐらい持つのか?
上記に書いた様にインプラントは一生物ではありませんので、必ず長持ちするようにメインテナンスが必要になりますと説明させてもらいましたが実際はどれぐらい使用できるのでしょうか?
インプラント長期経過の文献
1. フィクスチャー(インプラントの歯根)712本による293個のインプラント補綴物(被せ物)5年間の安定率は98.7%。
Torsten Jemt,DDS,PhD INT J Oral Maxillofac Implants 1989;4:211-217
2. 上顎において621本のフィクスチャーによる250個のインプラント補綴物の2~8年の安定率は99%。
下顎において506本のフィクスチャーによる247個のインプラント補綴物の2~8年の安定率は97%。
Myron Nevins,DDS INT J Oral Maxillofac Implants 1993;4:428-432
3. スイスのベルン大学で行われたストローマンインプラントの10年間の臨床研究では、511本のインプラントを使用し、成功率(97%)・生存率(98.8%)が報告されており、長期的な信頼性の高さが証明されています。
ストローマンHPより引用
論文においても臨床の実感からしても10年間は定期検診に来ていただいていればインプラントを問題なく使用できるのではないかと思います。
まとめ
インプラントは歯が無い部位に代替の歯根を作る治療です。
メリットとして他の歯(特に両隣)を削ることなく被せ物が入れることが出来ます。
そして、ご自身の歯と変わらずに噛むことが出来ます。
デメリットとしては治療期間が長くなる、インプラント治療ができない症例がある、自費治療なので高いなどが挙げられます。
インプラントに限らずどの治療にも一長一短ありますのでしっかりと説明を聞いて頂き、納得してから治療に進んでいただければと思います。
南小岩の歯医者 | 小野寺歯科医院
日付: 2020年12月22日 カテゴリ:ブログ and tagged #CT, #小岩、#歯科医院、#インプラント、#歯を失う、#抜歯、#被せ物、#入れ歯、#義歯、#ブリッジ、#メインテナンス, #歯科医師