こんにちは歯科医師の小野寺です。
急に気温が下がり寒くなってきましたね。
寒暖差などで体調崩されたりはしていないでしょうか。
さて10月8日は奥歯の日ですがご存知でしたでしょうか。私も調べるまで知りませんでした。
「奥歯の日」は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社が10月のOctoberでオク=奥、8日でハ(歯)の語呂合わせと、食欲の秋に健康な奥歯で食事を楽しんでもらいたいとの願いをこめて制定されました。
それだけ食事を行うのに奥歯で噛むという事が重要だと認識されているのだと思います。
奥歯とはどの歯?
奥歯(臼歯)とは、
奥歯(臼歯)は小臼歯(前から4番目、5番目)2本と大臼歯(前から6番目、7番目)2本上下左右合わせると16本
それに加えて奥歯(臼歯)のさらに後ろに親知らずが生えている人と生えて
そのため親知らずがしっかり生えている場合は奥歯が20本になります。
奥歯の働き
1、噛むのに重要
奥歯の食事のときの役割は、食物を噛み砕いたり、前歯で噛み切ったものをすり潰したりして、内臓での消化・吸収をしやすくすることです。
ものを噛むとき、奥歯には自分の体重とほぼ同じくらいの力がかかります。奥歯を1本失うと、ものを噛む力は40%近くも低下するといわれています。
2、噛み合わせ、歯並び
かみ合わせにおいても重要な役割があります。
小臼歯は、かみ合わせで下あごが必要以上に奥に行かないようにストッパーの形が刻まれていて、あごの位置を決める役割を担っています。
また第一大臼歯は、奥歯をしっかりと噛みしめたとき、かみ合う高さを決める役割を持っています。
正しい歯並びは奥歯が基準となっています。失った奥歯をそのままにしておくと噛みあわせが悪くなり、やがて歯並びや顔の輪郭形成にも影響が出てきます。
3、発音
どの歯にも言えることですが、歯が欠落しているとそこから空気が漏れて聞き取りにくい発音になります。奥歯は特に、「ハ行」や「ラ行」の発音を助けます。
4、身体のバランス
重たいものを持つときやスポーツをするとき、奥歯で食いしばることがあると思います。奥歯で食いしばることで体の体幹を固定し、瞬発力を得ているのです。奥歯でしっかり噛めるということは高齢者の転倒事故の予防のためにも大切だと言われています。
奥歯は色々な働きに関与しており、出来れば早期に無くなってしまうと大変になってしまいます。
奥歯が無くなってしまうとどうすれば良いの?
1、ブリッジ
ブリッジとは何らかの理由で欠損した所を両隣の歯を支持として使い、欠損した所を補う治療です。
メリット
- 取り外しがないため、違和感が少なく、 治療自体はシンプルである事です。
- 入れ歯に比べるとよく噛めます。ブリッジは保険治療でも自費治療でも作製することが出来ます。そのため、保険適応であれば費用を押さえることが出来ます。
- 入れ歯に比べてよく噛む事ができます。
デメリット
- 歯は削る必要がある事と両隣の歯に負担がかかる事です。そのため両隣の歯にかかるダメージが大きくなります。
2、入れ歯
入れ歯とは、失った歯を補うための人工歯のことです。
入れ歯には大きく分けて総入れ歯と部分入れ歯の2種類があります。
メリット
- 入れ歯治療はインプラントと違い外科手術の必要がないため、身体に他の疾患をお持ちの方や高齢者の方など、ほとんどの患者様でも治療を行うことができます。
- 入れ歯は保険治療でも自費治療でも作製することが出来ます。そのため、保険適応であれば費用を押さえることが出来ます。
- 歯周病など他の治療の必要がなければ、入れ歯の平均的な治療期間は約1ヶ月ほどです。インプラント治療(4〜5ヶ月)と比較すると治療期間や通院回数が少なくすみます。
デメリット
- 噛む力が弱いため硬いものが食べにくい事があります。
- 保険適応の部分入れ歯にはクラスプと呼ばれる金属のバネを残っている歯に引っ掛けて使用します。そのため部位によってはバネが目立つ事があります。
入れ歯は合わなくなってきたり、バネが緩んでくると外れやすくなったり、違和感が出てくる事があります。
3、インプラント
インプラントとは、本来は体内に埋め込む人工物を指します。そのため、整形外科の骨折治療で用いられるボルトなどもインプラントです。
インプラントのことを、歯科インプラント・デンタルインプラントなどと呼ぶこともありますが、近年は歯科診療におけるインプラント治療が一般的となり、単に「インプラント」と呼ばれることが多くなっています。
メリット
- 顎の骨にインプラントを埋め込むため、他の健康な歯を削らないで治療が行えます。
- インプラントは自分の歯と殆ど同じように噛む事ができ、噛み心地が良いです。
- セメントで接着するか、スクリューと呼ばれるネジで固定するため、ご本人が取り外す必要はありません。
デメリット
- インプラント治療は基本的に保険が適用されない自由診療なので、治療費用を歯科医院が自由に決められます。ブリッジや入れ歯は保険が適用されて約2〜3万円で治療ができるので、インプラントの治療費が高いことは大きなデメリットとなります。
- インプラントはあごの骨にインプラント体を埋め込んで、骨に定着するまで経過を見る必要があります。定着して治療が終わるまでには、およそ3〜6ヶ月もの期間が必要です。
- インプラントは他の治療とは異なり、あごの骨にインプラントを埋入するもの。麻酔を行うので基本的に痛みはありませんが、体への負担は大きく、外科処置に伴う合併症や感染症が懸念されます。
まとめ
奥歯は人が生きていく上で食事以外にも発音や歯並び身体のバランスに影響しています。
そのため1本でも無くなってしまうと今まで出来ていた食事や運動が困難になってしまう可能性があります。
インプラントやブリッジ、入れ歯で代替え治療は可能なのですがご自身の歯と同じように機能を発揮は期待できないかと思います。
そのため1日でも1年でも長く奥歯を抜くような状態にならずに保存しておく事が長生きし、何でも噛める、動ける人生を送るためには重要になります。