今日は歯科医師の小野寺です。
近年患者さんを診察しているととても歯ぎしりをされている方が多いなと感じる様になりました。
歯ぎしりとは
無意識のうちに食いしばったり、歯をこすり合わせたりしてしまうなど、上下の歯が不必要に接触している状態を歯ぎしり(ブラキシズム)という。
日中起きているときに生じるものと、眠っている間に生じるものがある。横方向にギリギリとこすり合わせるものをグライディング、上下の歯をぐっと噛みしめるものをクレンチングと呼ぶ。
歯ぎしりや食いしばりで上下の歯が触れ合っていると長時間にわたって歯や顎に力がかかり、歯や歯を支えている組織に負担がかかりお口の中などに症状が出てきます。
歯ぎしりの原因は
- 遺伝
- 飲酒、喫煙
- ストレス
- レム睡眠
- カフェイン
色々な原因が重なり、起こっているために原因を絞れないですし、解決法が少ないのが現状です。
診査、診断
- 睡眠中の歯ぎしりについては、朝起きたときに顎にこわばりや痛みを感じるか。
- 周囲の人から歯ぎしりをしていると言われたことがあるか。
- お口の中の歯のすり減り方の度合い。
- 頬に圧痕がないか。
- 顎の骨の過度な発達がないか。
- 顎関節に異常はないか。
問診と口腔内、顔貌の診査により歯ぎしりの有無と状態を診断していきます。
歯ぎしりすると悪いのか?
歯ぎしりをしていても全く症状なく経過している人もいれば、症状がある人もいます。
では症状がある場合にはどのように身体に影響が出るのでしょうか。
口腔内
- 歯ぎしりを続けると、多くは歯がすり減ってしまいます。
- また、歯が欠けたり、根っこから折れたりすることもあります。
- 歯ぎしりをするから、噛み合わせが悪くなる。
身体全体
- 全身でだるい感じが続く。
- 体調不良になりやすい。
- 頭痛がある。
今現在これらの症状がなくても将来的にこのような症状が出てくる可能性が有ります。
治療法
症状があまり無い場合→経過観察
症状がある場合→1、マウスピース
2、ボトックス注射
治療法があまり確立されていない病気です。
1、マウスピース
歯ぎしりから歯や顎骨を守る
就寝時に「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースをつけます。
咬み合わせの問題はそれぞれ違うので、 ご自身の歯にぴったり合ったカスタムメイドのものを型を取り作製します。
マウスピースを付けることで、歯ぎしりをしても直接歯に負荷がかからないため、歯の削れや、詰め物の破損などを防げます。
また、顎の関節に掛かる力が軽くなるため、顎関節症などを予防も可能です。
しかし、お口の中にマウスピースを付けて寝ることが患者さんにとっては違和感が強く出て寝ている間に外してしまったり、嘔吐反射があり装着できないケースなどがありますのでよくかかりつけの先生と相談されてから作成してください。
2、ボトックス注射
食物を食べるときに使われる筋肉を咬筋と言い、噛みしめや食いしばりなどが原因で咬筋が必要以上に発達する状態を咬筋肥大と言います。 咬筋肥大が長く続くと、顎の痛み、血行不良、ストレス、頭痛、肩こり、エラ張り、むくみなどの原因になる可能性があります。
ボトックス治療は肥大した咬筋にボツリヌストキシン注射をすることにより、咬筋の緊張を緩和しそれらの症状を改善させる治療法です。
どのような症状の方に有効か
- 歯ぎしり緩和
就寝時によく歯ぎしりをしていると言われる方。
- 歯の磨滅(すり減り)
歯ぎしりによって歯はだんだんすり減ってきます。
将来的に歯や歯の根っこそのものが割れてしまうことがあります。
- 詰め物の脱離・破損
咬む力が強いと歯の詰め物が外れたり、破損したりします。
セラミックの詰め物やインプラントをされている方は咬合圧をコントロールする必要があります。
- 頭痛・肩こり
歯を食いしばることで起こる肩こりや頭痛は改善できます。
- その他
笑った時に歯茎が気になる方(ガミースマイル)や口角拳上に効果があります。
ボトックス注射の方法
1、静脈内鎮静法を行います。
2、左右咬筋部にボトックス 注射(計50単位)。
3、4ヶ月後再度ボトックス 注射。
これをできれば何回か繰り返してもらいます。
そうすることで症状の緩和が見られます。
ボトックス注射のリスク
- 何回打つと歯ぎしりしなくなるのかが証明されていません。
- 注射後数日違和感や顎に痛みがあるかもしれませんがそれは元に戻ります。
- 自費診療になります。
当院でも2通りの方法がありますが基本的治療として始めはマウスピースをオススメして、症状の改善が見られない場合にはボトックス注射を行うようにしております。