こんにちは歯科医師の小野寺です。
突然ですが日常でガムを噛みますか?よく噛んでいる方はなぜ噛んでいますか?お口の中が何となく寂しい時やガムを噛むと落ち着くからでしょうか。
歯科の中でもガム噛みは重要で、色々な効果をお口やお身体にもたらしてくれます。
ガムを噛む事の利点
1,唾液を分泌を促進、唾液による自浄作用もありむし歯や歯周病の予防につながります。
ガムをかむことで唾液が分泌されやすくなり、唾液には溶かされた歯の表面を再石灰化してくれるミネラルを含んでいます。
また、唾液が分泌されると、緩衝作用(お口の中のPHを一定にする働き)をもっているため口腔内の酸性度を下げたり、唾液の流れそのもので虫歯になりにくい環境にしてくれます。
2,脳への血流がアップして、脳の発達、認知予防につながります。
歯の下には「歯根膜」というクッションのような器官があります。物を噛むと歯は歯根膜に約30ミクロン(0.03㎜)ぐらい沈み込みます。それによって歯根膜の下にある血管が圧縮され、ポンプのように血液を脳に送り込まれます。
血液が送り込まれることで脳は刺激を受けますから、噛めば噛むほど脳は活性化されるというわけです。
逆に、歯の本数が少ないほど歯根膜にかかる圧力は減りますから、脳に送り込まれる血量は減ります。その結果、脳への刺激も減るので、脳の機能は低下してしまいます。
また、脳の中で動作を司る「運動野」と、感覚を司る「感覚野」のそれぞれ3分の1は、口と密接につながっています。つまり、口からの刺激が、脳の広い範囲に影響を及ぼすのです。
※噛むこと研究室 長谷川嘉哉(はせがわ・よしや)先生 認知症専門医が「よく噛む」ことを勧める理由は?引用
3,唾液は消化を助け、胃腸の働きを活発にします。
唾液の分泌が促されると唾液に含まれるアミラーゼと呼ばれる酵素が、食べ物に含まれるでんぷんを分解し、胃で消化されやすい状態にします。 口の中の食べカスを洗い流し、口の中をきれいにして虫歯や口臭を防ぎます。
4,顎の成長発育
近年あまり硬い食べ物を食べる事が少なくなってきており、噛む回数も減ってきています。そのために歯や顎の周りの筋肉(咬筋や側頭筋)が育ちにくく、顎も育ちにくいです。
ガムを噛むことにより、顎と筋肉を鍛えることで歯並びや顔立ちを良くする事ができます。
ガムを噛む事の欠点
1,歯が擦り減ってします
長い間(1時間以上)ガムを噛んでいると歯が擦り減ってしまう事があります。その結果噛み合わせが合わないなどの症状が出る事があります。
2,虫歯になってしまう
虫歯は以下ミュータンス菌という虫歯菌が砂糖を食べることで、代謝物として強い酸を発生させ、歯を溶かしていくために起きます。
そのため砂糖の入っているガムを習慣的に噛んでいると虫歯になる事があります。
予防方法として甘味成分がキシリトールで出来ているとキシリトールはミュータンス菌が利用できません。このため強い酸を放出できず、菌の数も増えにくくなるので虫歯になりにくいです。
オススメの歯科専用ガム
1、歯科専用「キシリトール」
キシリトール以外の甘味料を一切使っていない、キシリトール含有率100%ガムです。カルシウムとフノランも市販より多く配合されています。
市販のものより硬いため噛むことにより唾液の分泌がより促されますし、顎の骨や筋肉を鍛えるためにも良いかと思います。
2、 歯科専用「POs-Ca F」
口腔内を中性にすることで再石灰化を促すします。市販のPOs-Caに加えて、フッ素がプラスされています。
歯科専用ガムとしては珍しく味が長持ちするので、飽きずに噛みつづけることができます。
ガム噛みはどれぐらい行うの
ガムは一度にたくさん摂るのではなく、一日に何度かに分けて摂り、毎日継続する事がとても重要になってきます。
1日の目安は4〜8粒。毎食後、歯磨き後、就寝前が効果的です。
キシリトールが100%配合されているガムであれば就寝前に摂取しても問題ありません。
味がなくなっても唾液の分泌を促進するために5分ぐらいは噛みつづけてください。
まとめ
ガムを習慣で噛むことにより
1、虫歯、歯周病予防
2、認知症予防
3、消化を助ける
4、顎や筋肉の成長発達を促進
などの素晴らしい効果があります。
その反面、噛む時間(1時間以上)やガムの選択(砂糖が含まれていないものが理想です)などによっては悪影響に働く可能性もありますのでかかりつけの歯医者さんにどのガムが良いのかなど確認してみるのも宜しいのではないでしょうか。